お話し伺い訪問メモより
2002年5月11日
[復興住宅]
- 70代女性一人暮し。震災で5時間閉じ込められた。屋根に穴をあけて助け出された。5時間のあいだ、何が起ったのか判らんし、自分だけかも知れへんし、家がペチャンコやとも判らんかった。駆け付けてくれた息子の声は聞こえても、自分の声はとどかなんでつらかった。でも、その息子も結婚し孫が生まれる。せっかく助けてもらったから、自分で用心するだけしとかな申し訳ないなあと思った。仮設では思いがけない知り合いがいて、寂しい思いはしないですんだ。「呼んだら届くとこに」友達がいたこと、良かった。寂しくなくて済んだ。何のために生きているんやろ? って言う人が多いけど、考えてもしゃあない。震災前の場所での寄合ではみんな落ちこんでいるが、しゃあない。ここは見晴らしも良いし、家から花見が出来るしね、と前向きの談義を105分。(山下、長船)
- 70代女性一人暮し。全壊でしたがケガもなく、と地震に会うまでの神戸に来たいきさつを伺う。年金と生活保護について批判的なご意見を強く語る。「まあここの辺、女の人多いね。主人は先になくなっとて、みんな一人よ」とご近所のお話しも伺う。遠くバスに乗っての買物の不便も「買物も運動の内や!」と自分の身体のコントロールについて伺う。(籠嶋、坂本)
- 70代女性一人暮し。「ごっついよー。鉄道がズコンと落ちて。そこのちょっと上で、うちはもう気ー失ってたわ。」と話し込み。波瀾に富んだ前半生のお話しを伺う。ここは空気はええし裏は山やい環境はええわ。ただ「この坂を上がってくるのはほんとうにつらい」と言われる。足が抜けそうにいとうて、1度こけてしまい左の腕を折ってしまった、とのこと。年金での生活の実際を様々伺う。朝ご飯を近所で集まって頂いている、楽しいご近所付き合いのお話しも。(籠嶋、坂本)
- 70代女性一人暮し。「永田で被災してね、ホンマよう助かったな思うて」と震災のときから一人暮らしだったご様子を伺う。ほとんど出たり入ったりであまり家にいないそうですが、元気で人付き合いに積極的なご様子。「阪神負けたー!ってゆうたら、明日勝ちゃええやん、来年勝ちゃええやん、ゆうて(笑)」と、わたし達訪問者にも「ありがとうございます!ほんま」と、貴重なお話し。(籠嶋、坂本)
- 70代ご夫妻。すぐに仮設でお世話役をしていた時のお話しになる。多彩で今も続いている仮設時代のお付き合いのお話しを伺う。「ここに来てからは何もせんくなったわ」とも。お孫さんが平日は家に居るので家の中はおもちゃばっかり、と楽しそうにお話し。「いま、よう死ぬんですよ、孤独死で。風呂場で亡くなったり、テレビのチャンネル機をにぎったまま無くなって3日間分からんかったりね」。エレベーターやペットについてのマナーの悪さや「こういう所ですからドアをパッと閉めたりすると話すことも出来ないですからね、孤独になるんでしょうねー。ここでこんなですから、他所はどんなかな?って思いますね」とのこと。「苦しんでいる人が多いさかい、まわせる分はまわしてくれー。いまさら神戸空港造ろう言うのがおかしい。作らす方も、作る方もおかしいわ!」と何回も力を入れて強調されていたのが心に残った。(堀内、西岡、佐藤)
2002年5月25日
[復興住宅]
- 70代の一人暮らし女性。病院通いでいろいろな病気が出てくるので心配。あまりにしんどうなると閉じこもりがちになるやろ、努めて集会所まで出るようにしてますねん、とのこと。去年同じ仮設にいた人が首をつって自殺してしまった。7世帯いたうち2世帯は亡くなり、1世帯は入院。ここに来てから飛び降り自殺で亡くなった方が二人も居られる。孤独死もある。「ここに来てから何回お葬式をしたかなー」と言われる。子供が大勢いるけれど遠い子は役にたたない。仮設やここで知り合った友達の方がよく来てくれる。他人の方がええね。上の階で50代の男性だけど震災で奥さんを亡くされてから長家を飲むようになった。肝臓やすい臓が悪く病院に行っても受け入れてくれないでたらいまわしに去れる。一人の人も多いし、近頃は家族がいても亡くなられる人もいるから安心できない、との事。前は警察のOBが来とったりしていたけれど最近は来ない。ここは買物が便利でないからねー。駅の方に出ても帰りタクシーやったら1000円以上するから、馬鹿らしいけどバスじゃしんどい。下の病院は良くなったらしいね。まあ、何があっても友達もいるし、何かあったら子供達より近所の方がねー。宗教も入っているしその点は大丈夫やと思いますよ。早くから結婚しての苦労話と教訓を語られ、「人間はみかけじゃあかんよ、一緒になってみな判らんとこあるし」この話しまたしようねーとお誘いを受ける。(猪上、佐藤、岸本)
- 推定40代の女性。仮設では犬の鳴き声や騒音が抜けて聞こえるし、など不満があったのでここに当たって入れたのは良いけれど、今度かここは仮設と違って寂しいという親を看護して入院させて亡くされたつらさを語られる。この辺はヘンなおっさんおるよー、とご近所の話し。買物行ったらバス代だけで400円やろ、けっこうでかいしなー、と買物の話し。まあ人生アンタ、楽しい思ていかなしゃあないやん。と、きっぷの良い女性で、家事をしながら約40分のお話し伺い。(坂本、原田)
- 中央区で被災、全壊取り壊し。ここの建物で余り困った事はない。近所とは余り付き合いはない。身障者手帳を持っておられる。下から上がって一番高い建物だから、行きはともかく、帰りは荷物を持ってこの坂だから。つかれてー。初めはそんなことなかったけど、「年をとってきていまになってねー」と嘆かれる。「せめてバス停まで何かあれば…、下から上がってくるのに3回も休んで」と坂の苦しさを語る。(長船、華山)
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